そうしてアル・レインと共に治療院を
始める事となったケイシーですが、
本業の写真館の方は辞める事なく、
その傍ら1日に2回、午前10時と午後15時に
依頼者の求めに応じて催眠状態に入り、
色んな人の病気の診断と治療法を
述べるようになったのです。
エドガー・ケイシーの
不思議な能力については瞬く間に
口コミで広まっていきました。
なぜならば、エドガー・ケイシーの元に
やって来る人というのは、ほとんどが
当時の医学が治せない人、もしくは、
原因不明と言われた人々で、とりわけ、
リーディングを取り始めて1年ほどした頃に
地元の名士の娘の難病を治したことで
ケイシーの名は急速に知られるようになりました。
その名士はデートリックという人物で、
その家に5歳になる娘がいたのですが、
2歳の頃から彼女は
てんかんの発作を起こすようになり、
5歳になる頃には1日に20回以上も
発作を起こす程になっていた。
地元の名士ですから、
名医と聞けばどこへでも行ったのですが、
どのドクターも娘の病気を治すことができず、
原因すら分かりませんでした。
最後にはドクター達から
「これは脳の重篤な病気です。
間も無く死にますから、最期は自宅で
看取ってあげて下さい」と告げられ、
自宅に引き取っていました。
そんな中、デートリック夫妻は
エドガー・ケイシーの噂を聞きつけ、
早速自宅に来てもらったのです。
ケイシーはそれまでリーディングを
無料で行なっていましたが、
今回遠方のお宅へ伺うという事で
初めて交通費をもらいました。
この交通費がリーディングで得た
初めての謝礼になりました。
ケイシーと、同行のアル・レインは
夫妻の自宅に向かい、いつものように
催眠状態に入ると少女の状態を語り始めました。
「この子供は2歳の時に馬車から
落ちた事があり、その時に尾てい骨を強打した。
また、運の悪い事にその時インフルエンザに
かかっていたため、その菌が尾てい骨に
形成された亜脱臼(サブラクセーション)に
病巣を作ってしまった事が原因である。
幸い、今のうちに整骨療法で尾てい骨を
矯正するならば治る」との事で、
それから3日間かけて2人は
尾てい骨の矯正にあたりました。
その後チェックリーディングを行ったところ
「よろしい、尾骨の矯正が正しくなされた」
との答えが得られました。
それからの治癒は劇的で、
数日のうちにてんかんの発作は激減、
2週間後にはほとんど出なくなり、
昔自分が大事にしていた人形の名前を
呼び始めました。さらに数日後には、
3年ぶりに父と母の名前を呼ぶようになりました。
そして小学校3年生の頃には、
同年代の子供と全く同じ知能にまで
回復する事ができました。
この少女は後に美しい女性へと成長し、
大学を卒業すると学校の先生になったそうです。
娘が治ると、感激した父親があちこちで
「うちの娘を治してくれたのは
エドガー・ケイシーさんだ!
あなた方も病気になったら彼の所に行くと良い」
とケイシーを大いに宣伝するようになったのです。
また、そのようにリーディングを続ける中で、
ケイシーはこれを患者を目の前にしていなくても
問題なく行えることが分かりました。
その時に必要なのは、患者の名前と
リーディングを行う時の居場所だけ。
まれに患者が約束した日時を忘れ
指定の場所に居ないことがありましたが、
そのような時ケイシーは、
「患者はここには居ない。
もうじき帰って来るはずだから、
我々はしばらくここで待つ事にしよう」
などとコメントする事があり、
まるでケイシーが患者のいる場所に飛来して、
その現場を見ているかのように、
細かく状況を説明する事が出来たのです。
また、次のような驚くべきケースもありました。
遠方のある人からの依頼で、
自分の娘の太ももに壊疽が生じ始めた事から、
医師に「命を救うためには大腿部から
切断しなければならない」と
宣告されている状態だった。
その時に彼女の母親は医師を説得して
切断するのを少し待ってもらい、
電報でケイシーに依頼をしてきたのです。
ケイシーはその場ですぐに遠方にいる彼女の
リーディングを取り、次のように指示をした。
「この人の大腿部は深刻な状態だが、
直ちにオイル・オブ・スモークというオイルを
つければ治る」と。また、それは、
あなたの家の近くの〇〇薬局にある、
という情報も説明し、その電報を受け取った
お母さんはすぐに言われた薬局に行き
店員さんに指定のオイルを頼みました。
すると、店員さんは
「そのオイルは古いオイルで、
うちにはもう在庫がありません」と言うのです。
困ったお母さんは再びケイシーに
電報を打って状況を伝え、
もう一度リーディングを取ってもらいます。
すると「オイルはあります。その店員さんが
知らないだけで、〇〇という薬瓶の裏を
探すように指示しなさい」と答えました。
その情報もすぐに電報で届けられ、
母親は店員に探す場所を指示した所、
リーディングが指摘した場所に
オイル・オブ・スモークが見つかったのです。
遠方にいる薬局の店員さんよりも
店の在庫状況を知っている…という、
非常に驚くべきエピソードです。
ちなみにそこで購入した
オイル・オブ・スモークを塗布したところ、
娘さんの太ももの壊疽は治って、
切らずに済む事になったのだそうです。
これもまた驚くべき事ですね。
このようにエドガー・ケイシーは
表向きは写真業をやりながら、
その驚くべき透視能力を使ってさまざまな
病人を治し、これを22年間続けました。
しかし46歳になった時、
ケイシーはこう考えるようになりました。
自分が催眠中に語っている情報は
ひょっとすると後世の人にも
重要な情報になるかもしれない。
そして自分の使命、今回の人生の意味は
リーディングを取ることにあるのかもしれないと。
そう思って、ケイシーは繁盛していた写真館を
売却し、リーディングを取ることを
自分の本業にすることにしました。
料金を取ってリーディングを
取るようになったわけです。
そして、記録を残すために、
速記者を雇ってリーディングを
一語一句正確に記録することにしました。
また、それまでは病気の治療しか
行わなかったのですが、ある人に、
「あなたの能力は病気の診断以外にも
使えるんじゃないですか」と言われ、
ケイシーはあらゆる分野に対して
自分の能力を適用し始めるようになりました。
そうして、今日までに、医学はもとより、
心理学、夢分析、宗教学、科学、工学、考古学、
芸術、政治学など、非常に様々な分野での
情報がもたらされることとなったのです。
実は、当時大統領だった
ウッドロー・ウィルソンも
エドガー・ケイシーを密かに
ホワイトハウスに招いてたそうですが、
残念ながらそこで行われた
リーディング内容については
非公開となっているようです。
こうしてエドガー・ケイシーは
24歳から亡くなる67歳まで
リーディングを取り続け、
記録に残るものだけでも、1万4306件の
膨大な量のリーディングを残してくれました。
エドガー・ケイシーが残した
貴重な情報は、ケイシーの死後、
バージニア州バージニアビーチに
本部を置くエドガー・ケイシー財団によって
保管活用されるようになり、
今日では世界各国に支部が置かれ、
それらを通して各国の人々に情報が
広まりつつあるのです。
【参考図書】
光田 秀『眠れる預言者エドガー・ケイシー』
https://amzn.asia/d/jk2eupp
光田 秀『エドガー・ケイシー療法のすべて①』
https://amzn.asia/d/1HRuW3V
【参考サイト】
NPO法人日本エドガー・ケイシーセンターHP
https://edgarcayce.jp/?inq